奨学金の返済期間は?上手く利用し進学しよう
奨学金は「全ての人が均等に学ぶチャンスをもてる権利」です。奨学金という名前は殆どの人が知っていると思いますが、返済などを考えると中々踏み切れない、という人もいるかも知れません。奨学金の種類や金額・返済などについて、もう少し理解したら、諦めなくても良いと思えるかも知れません。
奨学金とは何か知っていますか?
最近では、経済的な理由での共働き家庭が、当たり前の時代になっています。そんな中でも、教育費というのは家計の中では大きな出費の一つ。私立にするか公立にするか、経済的な理由で大学を諦めるかと悩みは尽きません。そこで頭に浮かぶのは「奨学金制度」。
奨学金とは、経済的に大学へ行く余裕がない家庭でも、学習意欲がある学生であれば、支援しましょうという制度です。しかし「奨学金」という名前は知っていても、詳しいことまではわかりにくいという人も多いでしょう。
そして奨学金と一口に言っても、給付や貸付と種類があり、更に支援してくれる団体も様々。それが余計に奨学金制度をわかりにくくしています。正しく理解すれば「大学へ行きたいけどお金がないから諦める」という学生も、勉強のチャンスを得ることが出来るのです。
奨学金とは
能力ある学生に金銭を給付、貸与
奨学金制度は、学ぶことに意欲のある学生に対して、学費や生活費を給付・貸与してくれます。様々な企業や団体・学校などで実施されており、経済的に困難にありながらも、学びたいという学生にとってはありがたい制度です。
ただし、全ての奨学金において審査があり、基準は様々です。家庭の経済事情だけでなく、本人の学習意欲や成績なども含めて審査されます。学業以外に優秀な成績を修めたかなども、大きなポイントになることがあります。
お金に困っていても進学できる
奨学金は、学力も学習意欲もあるのに、経済的な理由で大学を諦めなくてはならない、と感じる人の救済制度です。奨学金を受けたい本人の健康・学力・人となりに加え、家庭の経済力や家族構成も審査の対象となります。
しかし、その基準をクリアさえできれば、在学中は無利子で学費を借りることが出来るのです。これで基準を満たす可能性がある学生は、経済的な理由で大学を諦める必要はなくなるのです。
教育ローンとの違い
奨学金も教育ローンも、どちらも借金であることには変わりはありません。奨学金と教育ローンの違いは
・借主…奨学金:学生本人/教育ローン:保護者
・返済者…上に同じ、学生本人/保護者
・利息…在学中無利子/借りた時点から発生
・返済開始時期…卒業後から/借りた翌月から
などがあります。他にも、奨学金は申し込み時期が決まっているので注意が必要です。
奨学金の種類
給付奨学金:返済不要な奨学金
給付奨学金というのは、返済の必要がない奨学金のことです。育英会など各種の企業・団体や大学などが独自に行っているもので、入学時の一時金や月額数万円ほどの奨学金を受けることが出来ます。
募集要項に「併用可」とあるものに関しては、それぞれの審査さえ通過出来れば、重複して奨学金を受けることが可能です。複数の給付型奨学金を受けることが出来れば、学費の負担は大幅に軽減します。
私立大学などは、経済的理由で退学を余儀なくされる学生をなくすために、給付型奨学金制度を取り入れているところが充実していることがあり、場合によっては、国公立よりも経済的負担が少ないというケースも存在するようです。
貸与奨学金:返済しなくてはならない奨学金
貸与奨学金は、公的な組織が行っているもので、返済が必要にはなりますが、利息が付かない無利息のものもあります。全ての大学・専門学校などで申し込みが出来る、日本学生支援機構の奨学金では、無利息の第一種奨学金と、利息がある第二種奨学金がありますが、上限が3%と低くなっています。
貸与のため審査基準に成績基準がないなど、比較的借りやすいことが多いです。返済の必要があるために、給付型奨学金よりは敷居は低く感じますね。返済したお金は、次の学生への奨学金へと再活用されます。
主な奨学金制度について
大学独自の奨学金制度
国公立大学にもありますが、主に私立大学を中心に設けられている制度で、学校によって「貸与型」「給付型」の両方があります。2年次以降が対象という事もあり、1年次には入学試験で優秀な成績を収めた学生に対して、特待生制度として授業料の一部や全額を免除という形になることもあります。
地方自治体の奨学金制度
各地方自治体でも、自治体の出身者に対して、独自の奨学金制度を設けています。自治体によって金額は異なりますが、月額1〜5万円程度と考えてよいでしょう。
地方自治体の奨学金制度にも「貸与型」と「給付型」があり、家庭の経済状況に応じて採用が決まります。全ての自治体で奨学金制度を扱っているわけではありませんので、居住の自治体での確認が必要です。また、募集人数も少ないことが多いために、狭き門となるかも知れません。
民間団体の奨学金制度
民間企業が、母体の財団法人などが募集する奨学金もあります。交通遺児育英会やあしなが奨学金というのは、名前だけでも知っている人が居るかも知れません。大学の掲示板に貼るなどして募集していることがあります。
団体が大学に推薦を依頼して募集するものや、一般から直接募集するものなどがあります。他の奨学金と同じように、「給付型」と「貸与型」の両方があります。
日本学生支援機構の奨学金制度
日本学生支援機構の奨学金制度は、日本国憲法の「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」という条項の元に、独立行政法人として設立された団体です。
国の施策と密接に連携しながら各大学も一体となって、経済的理由で修学が難しい学生を支援していこうという事業なのです。
日本学生支援機構について
奨学金制度の中で利用者が多い
日本学生支援機構(JASSO)は、日本の奨学金制度の中では、利用者数が123万人ほどと最も多くなっています。国内の大学院・大学・高等専門学校・専修学校と対象の幅も広く、利息付き貸与は審査基準も若干緩やかです。
・高等課程(高校)での成績は平均水準以上
・特定分野において優れていると認められる
・学習意欲があり、確実に修了出来ると認められる
・高等学校卒業程度認定試験に合格または、科目合格で基準に該当している
奨学金の種類は2種類、海外留学も対象に
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は貸与型で
・第一種(無利息)
・第二種(利息あり)
・入学時特別増額
の基本3種類があります。また、海外留学においても奨学金を受けることが可能な、海外留学の奨学金も設定されています。
海外留学の奨学金
・第一種奨学金(短期派遣給付者対象)・第一種奨学金(海外協定派遣対象)
・第一種奨学金(海外大学院学位取得型対象)
・第二種奨学金(短期留学)
・第二種奨学金(海外)
利用条件は第一種の方が厳しい
利用条件について、第二種に比べて第一種の無利息奨学金の基準は厳しくなっています。申し込み時までの平均成績3.5/5以上であることや、世帯年収が846万円以下であることなどが条件となっています。
第二種の利息あり貸与の場合は、通っている学校の平均水準以上であればよく、特定分野において過ぎれていると認められており、学習意欲があり大学を最後まで修了することが出来ると、認められれば条件を満たすことが出来ます。世帯収入は1,171万円までと、こちらも第一種より基準は軽めです。
自宅かどうかで金額が変わる
金額は第一種・第二種などや、進学先(大学・大学院・専修学校など)の他、自宅通学/自宅外通学かによっても異なってきます。
第一種・国公立で30,000〜51,000円/月、私立で30,000〜64,000円/月。高等専門学校の場合は3年生までが少なく、10,000〜35,000円/月。4年生からは大学などと同等になります。
第二種は金額が大きくなり、月額30,000・50,000・80,000・100,000・120,000円/月から選択となります。私立の医科・歯科・薬学・獣医学過程に関しては、学費が大きいことから増額も可能となっています。
返済期間は最大20年
返済期間は最大20年で、貸与された金額の総額と割賦方法によって変わってきます。貸与機関修了の翌月から返還を開始し、貸与総額を貸与総額に応じた基礎額で割った年数内に返還する必要があります。
例えば、毎月50,000円を4年間貸与の場合
・貸与総額…5万×4年→240万円
・240万円÷16万円(基礎額)→15年
年間16万円を15年間支払うという事になります。日本学生支援機構サイト内のスカラネット・パーソナルで返済状況や、自分の奨学金情報の確認などができます。
返済免除される場合について
奨学生本人死亡の場合や、身体的・精神的に労働力を喪失した場合などは、返還未済額の全額か一部が免除になります。その他本人が、災害や病気など返還が困難な場合などにも、返済月額の減額(減額返済)や一時停止(返還期限猶予)などの変更を願い出ることが出来ます。
支払い月額の減額や一時停止の場合には、返還しなくてはならない元金や利息は免除になりません。しかし、先送りすることで返還負担を軽減出来ることもありますので、どうしてもの場合のために利用できることを、覚えておくと良いのではないでしょうか。
平成15年以前に、既に第一種奨学金で貸与を受けた人は、要件を満たした上で教育・研究職についた時には、願い出によって返還未済額の全額か一部を免除されますので、確認してみると良いでしょう。
経済的な理由で諦めず、未来を広げよう
折角学力があったり、目的のためにもっと学びたい!と思っているのに、諦めなくてはならないのはとても残念なことです。大学へ行かなくては出来ない勉強や、取得できない資格などもあります。就きたい仕事に必要な資格というのもあります。
奨学金は、経済的に困難だけれども諦めたくないという人達の味方として、良い人材が失われないためにある制度なのです。経済的な理由であれば諦めてしまう前に、奨学金制度を上手に利用して未来を広げましょう。
公開日:
最終更新日:2017/01/23