借りる・返済・取り戻す・投資する【住宅・車・教育・株・FX・仮想通貨】お金のまとめ

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延滞すると危険な奨学金!負担を軽減できる制度を解説

奨学金は大学生のうちは気にせず借りられますが、卒業してからしばらくするともちろん返済しなければなりません。中には卒業した時点で400万円の借金を抱えて社会に出る人もいます。この記事では奨学金の引き落とし日から様々な負担を軽減するシステムを余すことなく解説します。

奨学金返還の引き落とし日は?

奨学金は大学や高校に通っているが家計が苦しいところにとって非常に使い勝手がよく、便利なシステムです。しかし、様々な制約や条件があり、在学中はただもらっているだけのように感じていても給付型を除いては必ず返済しなければなりません。この記事では意外と知られていない奨学金のシステムについて「引き落とし日」というキーワードから深く洞察していきます。

奨学金の返済日は?
初回は最後の振込日の翌月から6ヶ月後

奨学金の返済が始まるのは、卒業してからすぐだと思っている人もいるかもしれませんが、すぐではありません。日本学生支援機構によると、奨学金の返済が始まるのは「貸与が終了した月の翌月から起算して6ヶ月経過後」となっています。たとえば、多くの短期大学や大学を3月に卒業した場合を考えると初回の返済は「10月」からとなります。

それ以降は毎月返済しなければならない

初回の奨学金の支払いが発生した後は毎月支払わなければなりません。支払う金額や年数はどの奨学金のシステムを使ったか、そしていくらもらったかによって大きく変動します。
奨学金の振込みは「リレー口座」のみ

奨学金の振り込みに関して、以前は払い込み用紙を使っての振込みが可能でしたが、現在は「リレー口座」のみの振込みが可能になっています。「リレー口座」とは奨学金の振込みに使う口座のことで「大学を卒業した人から現在大学生である後輩にバトンを渡す」という意味で使われています。奨学金の返済に関して引き落とし日はありますが振込み日はありません。
引き落とし日は原則27日

初回とその次の引き落とし関係なく、引き落とし日は原則「その月の27日」です。27日が祝日などで金融機関が休み出でない場合を除いては必ずこの日に引き落としが実行されます。
金融機関休日の場合は翌営業日

土日や祝日に27日が重なってしまった場合は金融機関が休みのため、引き落としは実行されません。このような場合の引き落とし日は「27日から数えて次の営業日」に引き落としが実行されます。2016年度に関しては一回も祝日や土日が27日と重ならないため、全ての月で27日に自動的に引き落とされます。
引き落とし時間は朝一番

引き落とし時間に関しては日本学生支援機構には詳しい情報が書かれていないため、はっきりとしたことは申し上げられません。しかし、参考までに様々なところで書かれている情報をまとめると基本的には「朝一番」で引き落としがされるようです。しかし、27日の引き落とし日になってからお金を入金しても引き落としが実行されないことがあります。

朝一番に引き落としが完了されなかった場合は27日の深夜帯に再度引き落としの操作が行われるようです。この機会を逃してしまうと「延滞」になってしまうので気をつけてください。そのため、入金はできるだけ前日の金融機関の営業中に行うようにしましょう。

残高不足だった場合は?
当日中に振り込めばOK

当日中に残高不足の場合でも、当日中に入金すれば間に合う場合があります。その理由は先程説明したとおり、奨学金の引き落としは27日中に数回行われるからです。したがって前日までに残高不足だった場合でも当日振り込めばしっかり引き落とされていることがほとんどです。

しかし、日本学生支援機構では前日中までに振込みを完了させておくように書かれているため、できるだけ前日までに入金するようにしてください。当日に振り込んで、引き落としが実行されなかった場合の責任は入金する側にあります。
1ヶ月延滞の場合は翌月に繰越

奨学金の支払いを延滞しても、支払いは確実に行なわなければなりません。何らかの理由によってその月の支払いができなく「延滞」した場合はその翌月の27日に2ヶ月分まとめて引き落としが実行されます。その月のみの引き落としができなかった場合は延滞金はかかりません。

さらに延滞をした翌月の7日以降に督促の電話がかかり、10日以降に奨学金の返還ができなかったことを知らせる通知が届きます。17日以降には個人信用情報機関への登録についての通知が届きます。こうして考えてみると延滞金がかからないとはいえ、やはり延滞はしない方がいいことが分かります。
2ヶ月連続の延滞では延滞金がかかる

上では延滞が1ヶ月のみの場合でしたが、2ヶ月延滞するとさらに様々なことが起こります。2ヶ月の延滞では1ヶ月の延滞とは違い、「延滞金」がかかります。延滞金の金額については下の「延滞利率は基本的には5%」を参照してください。

延滞したお金を振り込むためには上の場合と同様に滞納した次の月にまとめて延滞金と共に引き落とされることになります。そして、上で説明した通知や督促の電話に加えて、連帯保証人に「奨学金の返還についての冊子」が連続で滞納した翌月の11日以降に届きます。
3ヶ月連続の延滞ではさらに負担が

3回連続で延滞した場合は2回連続して滞納した場合に加えてさらに様々なことが起こります。2回以上連続で滞納した場合の「延滞金」を支払わなければならないことに加えて、3回連続して滞納した翌月の7日以降に督促の電話、10日以降に引き落としができなかったことを伝える通知、11日以降に連帯保証人と保証人に「奨学金の返還についての冊子」、17日以降に「個人信用情報機関への登録についての通知」が届きます。

延滞した金額を振り込むためには上の場合と同様に延滞した分と延滞金を加えた金額とその月の分の金額を入金することによって引き落としが完了します。
4ヶ月以上連続の延滞で「滞納」扱い

4回以上延滞すると「滞納」の扱いになり、回収委託会社からの督促が行われるようになります。この督促は電話や文書による場合や自宅に訪問する場合もあります。督促に関する電話は自宅だけではなく、もし本人が電話に出られなかったり出なかった場合、勤務場所にもかかることがあります。

回収委託会社からの督促にも応じなかった場合、最終手段として「機関保証」と「人的保証」と呼ばれる処置が行われる場合があります。機関保証では奨学金全てを返済するように請求する「一括返済請求」や当人の給与や財産を抑える「強制執行」が実行されたりします。「人的保証」では最悪の場合、裁判所に訴えられることもあります。
個人信用情報機関への登録について

先程から数回登場している「個人信用情報機関への登録」について疑問に思っている人が多いと思うので解説します。個人情報信用情報機関への登録は延滞が3ヶ月以上続いている人を対象に登録されます。返済が新しく始まる人は返済開始から6ヶ月を過ぎた段階で3ヶ月以上支払いを延滞している場合に登録され、それ以降は3ヶ月滞納することによって自動的に登録されます。

この情報には生年月日や住所、電話番号など基本的な個人情報が全て含まれていて、一回登録されてしまうと、クレジットカードの支払いが難しくなったり、ローンを組めなくなるなど様々な問題が発生します。
延滞利率は基本的に5%

延滞金の利率は奨学金のタイプや借りたタイミングによって少し変わってきます。たとえば、奨学金を借りている人の多くが使っている利息付きの「第二種奨学金」の場合は平成10年3月以降に貸与が終わった人で平成26年3月27日までは「年10%」が通常の支払いにプラスされます。

平成26年4月以降では引き落とし金額に加えて「年5%」の延滞金が加算されます。したがって、基本的には奨学金の延滞金は「年5%」と考えるといいでしょう。ただ、延滞金の計算は自分でする必要はなく、「10日以降に引き落としができなかったことを伝える通知」の中でしっかり計算されています。

奨学金の支払い負担を減らすには
奨学金は新卒にとっては非常に重い負担になることもあり、返済が非常に大変なことがあります。しかし、奨学金は必ず満額で返済しないといけないと言う基本的な条件があり、返済額を減らすことはできません。ただし、奨学金の返済には様々な方法があり、心理的な負担を減らすことはできます。ここではその代表的なシステムを紹介します。
月賦・半年賦併用返還を利用する

「月賦・半年賦併用返還」では、年に返済する奨学金の額は同じですが、返済の方法を変えることができます。具体的には毎月の返済額を半分にする代わりに1月と7月に減らした分を全て回すというものです。1月や7月は年2回のボーナスが入るタイミングで、支払いが比較的楽になることを利用したものです。

この返還方法の申し込みは奨学金の貸与が完了する前の返還誓約書でできます。ただし、一度その支払い方法に決めてしまった場合は変更するのに時間がかかることがあります。
減額返還制度を利用する

「減額返還制度」が適用されるためには理由が必要で、たとえば災害や病気に遭ったり経済的に支払いが難しくなっている人が利用できます。通常は月賦を減らすことはできませんが、この制度が適用されることによって一定の間支払い金額を半分にできます。12ヶ月ごとに更新が必要になりますが最高10年まで延長することができます。
返還期限猶予制度を利用する

「返還期限の猶予制度」では様々な原因で返済するのが難しい状態に陥っている人が手続きをして承認された場合に適用される制度です。ただし、減額返還制度同様に支払い合計金額は変わらず、支払い期間が延びることにつながるので注意してください。

この制度では二種類の猶予制度がありますが、多くの場合「一般猶予」と呼ばれる制度が適用されます。一般猶予では基本的に合計10年までの猶予が適用されます。
返済額が減る分期間が伸びる

減額返還制度や返還期限猶予制度では一回に支払う月賦の金額を半分にしたり、支払いを猶予できるというメリットがあります。しかし、返済合計金額は変わらず、この制度が適用された期間分返済期間が2倍以上になるので注意してください。

「減額返還制度」と「返還期限猶予制度」の手続き方法
減額返還願・返還期限猶予願をダウンロードする

「減額返還願・返還期限猶予願」は「独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO)」のトップページから「奨学金」「返還が難しいとき」「『返還期限猶予』か『減額返還』」「手続方法」の順番にクリックしてその中の「1.猶予願・チェックシートの入手(返還期限猶予の場合)」「1.提出書類(減額返還の場合) 」からダウンロードすることができます。
所定用紙を印刷し、記入する

フォーマットのダウンロードが完了したら、所定用紙を印刷して必要事項の記入をします。一枚目で「減額返還願」か「返還期限猶予願」を選べるので必ずチェックを入れてから記入を開始してください。記入の際には「奨学生番号」が必要になるので必ず手元に用意してください。

基本情報の記入が完了したら、下の「奨学金減額返還を希望する」か「奨学金返還期限猶予を希望する」どちらかにチェックを入れて希望する期間を選んでください。両者とも一回に申請できる期間は「最長12ヶ月まで」です。また、減額返還の場合は2ヶ月単位で計算され、返還期限猶予の場合は1ヶ月単位で計算されます。

期間についての記載が完了したら、次は「願出の事由」に行ってください。ここでは、「減額返還願」か「返還期限猶予願」が承認されるのに必要な理由をチェックします。そして、そのチェックした項目に対してそれを証明する文書を必ず用意してください。

最後は「申告」です。ここでは「減額返還願」か「返還期限猶予願」を申請する理由を書きます。できるだけ詳細に書いた方が申請が通る確率が上がるため、少々面倒ですが必ず具体的に記入するようにしてください。
必要な提出書類を全て用意する

提出しなければならない書類は「減額返還制度」と「返還期限猶予制度」によって多少変わってきます「減額返還制度」を申請する場合は「奨学金減額返還願およびチェックシート」と「経済困難な状況を示す証明書」は必ず添付しなければなりません。それから提出していない場合に関して「個人信用情報の取扱いに関する同意書」と「口座振替加入申込書の預・貯金者控」が必要になります。

「返還期限の猶予制度」を申請する場合は「奨学金返還期限猶予願およびチェックシート」と「申請願でチェックをつけた申請理由を証明する書類」を必ず用意してください。
チェックシートに記入する

一通り所定用紙への記入が完了したら「減額返還願・返還期限猶予願 [提出前チェックシート]」で記入漏れ、または不備がないかチェックしましょう。この用紙も提出が義務付けられているため、チェックが完了したからといって、捨てないように気をつけましょう。

返済が難しい場合は必ず届出をしよう

奨学金は貸与されているときは特に意識していない場合が多いですが、多額になっていることが多いです。そのため返済が困難になることが少なくありません。

奨学金の引き落とし日に入金が困難になっている場合は延滞や滞納の扱いにならないように必ず「減額返還制度」や「返還期限猶予制度」を利用しましょう。支払い合計金額は変わりませんが、滞納にすることによる様々なリスクを回避することができますよ。

公開日:
最終更新日:2017/01/23